マーモット

マーモットは不思議な生き物?

人間にも意外と知られていない山岳リスの一面

マーモットと聞くと、どんなイメージを持つでしょうか。
のんびりした太っちょリス、あるいは山の上で大声出している動物?
じつはマーモット、見た目の可愛さとは裏腹に、過酷な自然を生き抜くための進化を極めたサバイバリストなんです。

このコラムでは、警戒の鳴き声の意味から、冬眠の秘密、そして太ることの科学的理由まで。
マーモットにまつわる意外な真実を紹介します。

太ったリスではなく、れっきとした山の住人

マーモットはリス科に属する哺乳類で、ヨーロッパ・アジア・北アメリカなどの山岳地帯に広く分布しています。
アルプスマーモット、ロッキーマーモット、ヒマラヤマーモットなど、15種類ほどが確認されています。
木の上ではなく地面の下に巣を掘って暮らす地上性リスで、家族単位で暮らすことが多い動物です。

彼らの巣はまるで地下要塞。複数の通路と出口を持ち、寝床、そして冬眠用の部屋まであるのです。
外敵の多い山岳地帯では、地中がいちばん安全なマイホームなのです。

鳴くのはパニックじゃない、命をつなぐ警報

マーモットの代名詞といえば大きく叫ぶような鳴き声。
あれは恐怖の叫びではなく、仲間に危険を知らせるための警戒音です。
空にワシを見つけても、地上にキツネが現れても、すぐに鳴いて警報を出します。

群れには見張り役がいて、仲間が草を食べている間、周囲を監視。
危険を察知すれば自分をさらしてでも鳴き続けることがあります。
彼らにとって鳴くことは、まさに命がけの防衛行動なのです。

食べて太るのは生き延びるため

秋になると、マーモットはとにかく食べます。
草、花、種子などをひたすら口に運び、脂肪をためていく。
この食べすぎは冬眠の準備。寒い季節になると、体温を5℃ほどまで下げて数か月もの間眠り続けるのです。

冬眠中はほとんど食べ物を摂れず、エネルギー源は体脂肪のみ。
だから秋の食べ込みが足りないと、冬を越せないこともあります。
見た目のぽっちゃり体型は、怠けではなく命の保険なんです。

動かない時間も、自然のリズ

冬眠中のマーモットは、心拍も呼吸も最小限。
まるで時間が止まったような状態で春を待ちます。
それでも、外気温の上昇を感じるとゆっくりと目覚め、また群れの生活を始めます。

山で暮らすには、動かないことこそが生きる戦略。
この静の時間があるからこそ、短い夏を全力で生き抜けるのです。

可愛さの裏にある、知恵と進化

マーモットは、鳴き声で仲間を守り、脂肪で冬を越え、地下で暮らす。
そのすべてが理にかなった生存のためのデザインです。
のんびりした見た目に反して、彼らの生活は緊張と工夫の連続。

次に山で大きな鳴き声を聞いたら、それは怠け者のリスではなく、
この星で最もたくましい冬眠の哲学者の声かもしれません。

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