コウモリは不思議な生き物?闇の主役の意外な素顔
コウモリと聞くと、どんなイメージが浮かぶでしょうか。
ハロウィンの夜空を飛ぶ黒い影、吸血鬼の使い、あるいは不気味な洞窟の住人…。
映画や物語の中では闇の象徴として描かれることが多いコウモリですが、
その実態は驚くほど地味で、そして生態学的にとてもユニークな生き物なのです。
このコラムでは、吸血の誤解から逆さま生活の秘密、黄金の肥料を生み出すフンの話まで、
コウモリにまつわる意外な真実を探っていきます。
血を吸うのはごく一部!森を育てるフルーツバット
世界には1400種以上のコウモリが確認されていますが、血を吸うヴァンパイアバットはそのうちたった3種。
中南米にしか生息しておらず、人の血を吸うことはまれです。
ほとんどのコウモリは、果物や花の蜜、昆虫などを食べる穏やかな動物です。
特に果物を食べる種類は、食べた実の種を遠くまで運ぶ森の庭師。
彼らがいなければ、熱帯の森は再生できないとも言われています。
つまり闇の使者どころか、森の生命をつなぐエコヒーローなのです。
逆さまの理由は飛び立つための仕組み
コウモリが天井からぶら下がるのは、ただの気まぐれではありません。
実は、コウモリの足の筋肉は他の動物と逆の仕組み。
力を抜くと爪が締まり、ぶら下がったままでも筋肉を使わずに休めるのです。
また、地面から助走をつけて飛び立つのが苦手なため、落下の勢いを利用して空へ飛び出します。
あの逆さまの姿勢は、まさに自然の理にかなった進化の結果。
人間が見て奇妙だと思う行動には、すべて生きるための理由があるのです。
飛びながら排泄?グアノが生んだ黄金の争い
コウモリはぶら下がったままでも排泄しますが、飛びながらフンを落とすことも多いといわれています。
洞窟の床に積もったそのフンはグアノと呼ばれ、実は貴重な天然資源。
窒素やリン、カリウムが豊富で、19世紀には黄金の肥料として高値で取引されていました。
ペルーやチリなどでは、グアノ採掘をめぐって戦争まで起きています。
人間社会を動かすほどの価値を持った洞窟の宝――それを生み出したのがコウモリなのです。
闇の象徴から、森を支える主役へ
ハロウィンでは恐怖の象徴として描かれるコウモリ。
けれど実際は、害虫を食べて農作物を守り、森の種を運び、肥料まで生み出す生態系の要です。
夜の空を静かに飛ぶその姿は、地球の循環を支える影の守り人なのかもしれません。




